几帳は、薄絹を掛けて、間仕切りとして使われたもので、平安時代に公家の邸宅で始まったと言われます。几帳面というのは、この几帳の縦材に手の込んだ面(めん)を施したことに由来しています。基本的な用途は目隠しですが、部屋を仕切る、高貴な婦人を隠す、荷物を隠す目的で使われてきましたが、現代では、神社等の意匠の1つとして、あるいは旅館や料亭での間仕切りを兼ねたインテリアとして使われることが多くなっています。
部材の名称としては、几帳に用いる薄絹を「帷・帷子(かたびら)」、天棒を「手」、天棒を支える縦棒を「足」、根元の台を「土居(つちい)」と呼びます。
帷子は、布を横に継ぎ足して一枚にすることが多く、その継ぎ目に「野筋」と言われるリボン状の布を垂らします。帷子は、文様や絵を描いて、見た目を重視する調度品としての役割が強くなってきており、画家の絵や、西陣織などので仕立てられた帷子になると数十万円から数百万円になることもあります。